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2025.07.21
小規模企業持続化補助金は、地域の中小企業・小規模事業者にとって、経営の立て直しや事業拡大を目指す上で非常に有効な支援策です。中でも「対象経費」の理解と正確な記載は、採択されるかどうかを左右する重要な要素です。
この記事では、中小企業診断士として数多くの申請支援を行ってきた立場から、経費区分の詳細と注意点を解説します。さらに、ChatGPTを活用した申請書の効率的な作成法も紹介します。
小規模企業持続化補助金の「対象経費」は、補助金申請の要となるポイントです。結論として、対象経費を正しく理解し、申請書に正確に記載することで、採択の可能性を大きく高めることができます。
小規模企業持続化補助金は、商工会・商工会議所がサポートする制度で、持続的な経営や販路開拓を行う小規模事業者を対象としています。対象者は業種や従業員数によって定義されており、例えば製造業や建設業では常時使用する従業員が20人以下、卸売業・小売業・サービス業では5人以下になります。
対象経費を理解することは、申請の成否に直結します。というのも、補助金は「使途」が明確に定義された経費のみに支給されるためです。例えば事業拡大のためのチラシ制作やホームページリニューアル、機械導入などは対象になりますが、日常的な備品購入や消耗品は対象外とされています。
仮に申請書に「対象外経費」を含めてしまった場合、補助対象外と判断されて不採択となるか、採択後に返還を求められるケースがあります。特に注意すべきは、外注費や委託費などの名目が似ている項目で、定義を誤ると判断ミスが生じやすいため、専門家の助言を得ることが望ましいです。
対象経費は、補助金が正しく使われるかを判断する最重要項目です。結論として、10種類の経費区分を正確に把握し、事業目的に合致するよう整理することが、採択の鍵を握ります。
機械装置等費とは、生産性や業務効率の向上に必要な設備投資に該当する経費を指します。例えば、製造機器の導入や業務用PC、専用ソフトウェアの購入費などが含まれます。
重要なのは、導入する設備が販路開拓等の「新たな取り組み」に直結していることです。例えば、今までアナログだった業務をデジタル化するためのツールや、販路拡大を目的とした設備導入が該当します。一方で、日常的に使用するプリンターや事務椅子など、汎用品の購入は対象外となるので注意が必要です。
広報費は、事業のPR活動に使われる費用です。チラシ・パンフレット・DMの制作や配布、ウェブサイトの構築・リニューアルが対象となります。これらは新規顧客の獲得や市場拡大に資する費用として認められています。
補助対象となるには、「外注」による制作が原則です。自社で作成した場合は人件費と見なされ、対象外となります。また、ウェブサイト関連費では、更新作業・保守管理費は対象外となることが多く、新規開設やリニューアル、EC機能の追加など「販路拡大に資する」内容が対象となります。
委託費・外注費は、社外の専門家や業者に作業を依頼した際に発生する経費です。一方で、旅費については展示会や営業活動に関係する移動費に限って認められています。
補助金申請では「対象経費」だけでなく「対象外経費」にも注意が必要です。対象外となる経費を正しく理解し、申請書に含めないことが不採択リスクを回避する鍵となります。
小規模企業持続化補助金では、原則として事業の販路開拓や生産性向上に直接関係しない経費は対象外とされています。具体的には、日常的に使用する備品や家賃、税金などが該当します。
例えば、電卓・ホチキス・コピー用紙などの消耗品、事務用デスクや電話機などの一般備品は対象外です。また、既存の契約に基づいた家賃や光熱費、インターネット回線使用料などの固定費も認められません。これは、これらの費用が事業の拡大や改善に直結しないと判断されるためです。
申請書でよくあるミスの一つに「経費の誤分類」があります。例えば、本来は広報費として計上すべきチラシ制作費を、委託費として記載してしまうケースです。
補助金申請で重要なのは「正確な経費記載」です。結論として、対象経費欄を明確かつ論理的に記入することで、審査員に伝わりやすくなり、採択率が向上します。
申請書における経費明細欄には、何にいくら使うのか、どのような目的で使うのかを明確に書く必要があります。単に「広告費:30万円」と記載するだけでは不十分で、「新規開業に伴う集客チラシ作成費用:A印刷に外注、3万部印刷予定、配布エリア〇〇市全域」など、具体性と合理性が問われます。
例えば、「ウェブサイト作成費」とだけ記入し、内訳(トップページ構成、デザイン、SEO対応など)を省いた場合、審査員から「実態不明」と判断されて減点される可能性があります。また、経費合計が補助上限額を超えていたり、桁数のミスがあったりするケースもあり、こうした単純なミスが不採択を招くこともあります。申請前に専門家によるチェックを受けることが重要です。
経費の正当性を示すためには、見積書や契約書などの証憑(しょうひょう)書類を添付することが求められます。これにより、金額の根拠が明確になり、審査の信頼性が高まります。
具体的には以下の書類が必要です。
これらが揃っていないと、補助金の対象外と判断される場合があります。特に「見積書に業者名と日付が入っていない」といったミスは非常に多く、要注意です。
近年、AIツールの活用が進む中で、ChatGPTを使って補助金申請書を作成する手法が注目されています。結論として、適切なプロンプトを使えば、申請書作成の効率と精度を飛躍的に高めることができます。
ChatGPTは自然言語処理に特化したAIで、与えられた指示(プロンプト)に基づいて文章を生成することができます。補助金申請においては、対象経費の記述例、事業計画の草案、構成案の作成など、多岐にわたる支援が可能です。
例えば、「展示会に出展するための経費を、広報費としてどう記載すればよいか?」とChatGPTに尋ねると、適切な表現例を返してくれます。これにより、人間だけで作業していたときに起きやすかった漏れや重複を減らすことができます。また、事業の強みをどう表現するかに迷った場合でも、AIが第三者目線の言い換えを提案してくれるため、文章の質も向上します。
効果的なプロンプトとは、AIに「誰が・何を・どのように」求めているかを具体的に伝えることです。曖昧な指示では精度の高い文章は生成されません。
以下は実際に活用できるプロンプト例です。
これらを活用することで、ChatGPTは申請書に即した精度の高い記述を提案し、審査通過の可能性を高める補助ツールとなります。
補助金の採択を目指す上で、最も大切なのは「審査員に刺さる申請書」を作成することです。結論として、審査の視点を意識しながら申請内容を構成することで、採択率は確実に向上します。
採択されやすい申請書には共通した特徴があります。それは、事業内容・目的・経費の使い道・期待される効果が一貫してつながっていることです。特に「補助金を使う理由」と「使うことで何が変わるのか」が明確になっていると、審査員にとって非常に理解しやすくなります。
例えば、「集客を目的としたホームページのリニューアル」を行う場合、対象経費の項目にウェブ制作費があり、その効果として「検索流入を月100件→300件にする」といった具体的な成果目標が設定されていると、説得力が増します。逆に、事業目的と経費の内容がちぐはぐな申請書は、採択されにくくなります。
筆者はこれまで100件以上の申請支援を行ってきましたが、採択される申請書には明らかな共通点があります。それは「シンプルであること」「根拠があること」「独りよがりでないこと」です。
申請書は専門用語を多用せず、高校生でも理解できるような文章で書かれているほうが評価が高くなる傾向にあります。また、第三者から見ても「なぜこの経費が必要か」「この経費でどんな成果が出るのか」が分かるように、読み返しチェックを行うことが重要です。事業の熱意を伝えることも大切ですが、客観性が欠けているとマイナス評価につながります。
申請時に「これは対象になるのか?」と迷う場面は多くあります。結論として、事前に疑問点を整理し、判断に迷う経費は必ず確認することで、申請ミスを未然に防ぐことができます。
補助金申請では、経費の使途が明確に定義されているとはいえ、現場ではどう分類すべきか判断が難しいケースも多々あります。例えば広告で使う「写真撮影」は広報費か委託費か、といったケースです。
こうした場合は、まず公募要領(補助金募集の詳細資料)を確認しましょう。多くの場合、対象経費の定義が具体的に記載されています。さらに判断がつかない場合は、地元の商工会議所や中小企業診断士に相談するのが確実です。また、経済産業省の公式ページや支援ポータルサイトのQ&Aも有用です。
補助金では、「経費がいつ発生したか」も重要な審査基準です。契約日・発注日・納品日・支払日の順番と整合性が取れていないと、不正利用とみなされる可能性があります。
原則として、交付決定日前の契約や支払いは補助対象になりません。つまり、交付決定通知を受け取った後に発注し、支払い・納品がその後である必要があります。この順序が守られていないと、たとえ経費の内容が適切でも補助金が支給されないことがあります。スケジュール管理は慎重に行いましょう。