スタッフブログ
2026.08.17

お客様は街を歩きながら、無意識のうちにいくつかの店を比べて、今日はどこに入ろうかと選んでいます。つまり自店の看板は、単体ではなく近隣の看板と並べて見られています。だからこそ、まず近隣の同業がどんな看板を出し、どんな言葉を使っているかを確かめることが先になります。相手の主張が分かって初めて、自店が何を言うべきかが決まります。
車で通り過ぎるのではなく、お客様と同じように歩いて回ります。見るのは、看板の大きさや位置だけではありません。どんな言葉を掲げているか、価格を出しているか、写真を使っているか、色と書体は何を選んでいるか。この4点を店ごとに書き留めていくと、地域の傾向が見えてきます。
見て回った結果、どの店も「おいしい」「安い」「丁寧」といった抽象的な言葉ばかり掲げているなら、それは自店にとって好材料です。お客様から見れば、どの店も同じに見えていて選べない状態だからです。ここに他店と違う具体的なメッセージを出せば、比較の土俵から抜け出せます。
反対に、近隣の他店がすでに具体的で強い打ち出しをしている場合は、同じ土俵に上がって競うのは得策ではありません。後から同じことを言っても、先に印象を持たれている店の印象を上書きするのは簡単ではないからです。その場合は、まだ誰も触れていない切り口を探すほうが、結果につながりやすくなります。
周りの店が品揃えの豊富さを売りにしているなら、自店は一つの食材や一つの悩みに絞った専門店として打ち出せます。他店が価格の安さを前面に出しているなら、落ち着いた空間でゆっくり過ごせることを価値として掲げる選び方もあります。同じ軸で上回ろうとするより、軸そのものを変えるほうが、看板という限られた面積では伝わります。
言葉が違っても、色や書体が周囲と似ていると視覚的には埋もれます。周辺の看板が寒色系でそろっているなら暖色を選ぶ、角ばった書体が多いなら丸みのある書体や手書き風にするなど、街並みの中で違いが出る組み合わせを探します。ただし、自店の業種やブランドから外れた色を選ぶと、何の店か伝わらなくなりますので、その範囲内で差をつけます。
歩いて回るときは、各店の看板を同じくらいの距離から撮影しておきます。あとで一覧に並べると、地域全体の色の傾向、使われている言葉の重なり、まだ誰も使っていない表現がひと目で分かります。記憶に頼って判断するより確実ですし、季節ごとに撮り足していけば、周辺の変化も追えるようになります。
この一覧は、看板を製作する際の打ち合わせ資料としても役立ちます。どの店と、どの点で違いを出したいのかを言葉と写真で共有できれば、デザインの方向性が固まるまでの時間を短くできますし、出来上がってからの認識のずれも防げます。
気をつけたいのは、他店を引き合いに出すような表現や、根拠のない言い切りに向かってしまうことです。地域一番、日本一といった表現は、裏づけを示せないと信頼を損ないます。また、目立つ店の看板をそのまま真似ると、結局その店の印象を強めるだけになりかねません。あくまで自店が何を提供できるかを起点に考えてください。
競合リサーチの目的は、勝ち負けを決めることではなく、自店だけが言えることを見つけることです。近隣の看板を歩いて確かめ、言葉と色の傾向を把握し、空いている位置に自店を置く。この順番で考えると、看板に載せる言葉は自然に絞られていきます。地域での見え方を整理したい場合は、現地を確認したうえでご提案しています。
A. お客様が自店と比べる可能性のある範囲が目安です。徒歩中心の店舗なら歩いて回れる距離、車で来る店舗なら同じ道路沿いの店まで広がります。移動手段によって範囲が変わりますので、来店客の来る方向を基準に決めてください。
A. 見ておく価値があります。看板の見え方という点では、隣接する店や向かいの店がすべて競合になります。業種が違っても、色や大きさで自店の看板が埋もれることはありますので、周辺全体の印象を確認しておきます。
A. 大きさだけで解決するとは限りません。載せる情報が多いまま大きくすると、遠くからは読めず近くではうるさい看板になります。まず何を言うかを絞り、そのうえで必要な大きさを検討する順番が確実です。
A. すでにお客様に覚えられている色であれば、変えることでかえって認知が薄れることもあります。色そのものを変えず、配色の組み合わせや書体、看板の形状で違いを出す方法もありますので、状況によって判断が分かれます。
A. 来店されたお客様が、なぜ他店ではなく自店を選んだのかを尋ねてみてください。店主が当たり前だと思っていることが、外から見ると強みになっていることは少なくありません。そこが看板で伝える内容の候補になります。
A. はい。ミライベクトルでは現地で周辺の看板の状況を確認したうえで、埋もれない色やレイアウトをご提案しています。既存の看板の色に合わせる必要がある場合は、カラーマッチングでの対応もできます。
【監修】株式会社ミライベクトル 取締役社長 大平典男(中小企業診断士/MBA)
看板・広告業に携わり20年。名古屋市守山区を拠点に、東海3県で看板の企画・デザイン・製作・施工を自社一貫で行っています。経営に関するご相談も承っております。(会社案内)