スタッフブログ
2026.07.30

誰もが羨む一等地は家賃が高く、個人店や開業間もない店舗が簡単に借りられるものではありません。結果として、ビルの2階以上や地下、大通りから一本入った路地裏といった条件で勝負することになります。
ただ、「立地が悪い」という言葉は曖昧です。分解すると、実際に起きている問題は3つしかありません。①そもそも見えない、②何の店か分からない、③中の様子が分からず入りにくい。悪立地の看板集客とは、この3つを1つずつ潰していく作業です。逆に言えば、3つとも潰せば立地のハンデはかなりの部分まで埋まります。
店舗の正面だけを見ていても解決しません。「お客さんの目線がどこにあるか」から逆算して設置場所を決めます。大通りを歩く人の視線に入るビルの側面に看板を出す、許可を得たうえで曲がり角に案内看板(野立て看板)を置く、といった打ち手です。
案内看板には「この先を右折してすぐ」「隠れ家カフェはこちら→」のように、距離と方向をはっきり書きます。あいまいな案内は、かえって「探すのが面倒だ」という離脱を生みます。なお、他人の土地や道路上に看板を出す場合は、屋外広告物条例の許可や道路占用・道路使用の許可が必要になるケースがあります。設置場所を決める前に確認してください。
ここでの失敗は、おしゃれさを優先しすぎることで起こります。隠れ家的な高級感を出したいからと、凝った欧文フォントで店名だけを小さく書く。一等地なら成立しますが、不利な立地では逆効果になります。
立地が悪いほど、親切すぎるくらい分かりやすくするのが鉄則です。「本格炭火焼き鳥」「慢性腰痛専門の整体院」のように、誰が見ても1秒で理解できる言葉を、力強い文字で。あわせて料理や施術風景の写真を大きく配置します。まず何の店かを示す。世界観を伝えるのはその次です。
2階へ上がる階段や地下へ続く通路は、外から店内が一切見えないため、初めての人にとって入るのに勇気が要ります。この心理的な壁が、悪立地における最大の損失です。
打ち手は、暗さと情報のなさを同時に潰すことです。階段の入り口にテーマカラーのマットを敷き、LED照明で明るく照らして営業中の活気を出す。そのうえで、店内の広さやインテリアがわかる写真、スタッフの笑顔の写真、価格表をパネルにして掲示し、大きめの矢印で「どうぞ2階へ」とナビゲートします。不安を安心に変えられれば、階段はハンデではなくなります。
場所が悪いということは、裏を返せば固定費を大きく抑えられているということです。一等地との家賃差が月10万円あるなら、年間で120万円。その一部を看板に回すだけで、視認性と誘導力は一等地の店舗に近づきます。
しかも家賃は毎月消えていく費用ですが、看板は一度設置すれば数年にわたって働き続けます。悪立地は不利な条件であると同時に、費用構造の面では有利な条件でもあります。
最後に、逆効果になりやすいパターンを挙げておきます。第一に、店名だけの看板。何の店か伝わらないため、通行人の記憶に何も残りません。第二に、情報を詰め込みすぎた看板。読む時間がない通行人には、結局ひとつも伝わりません。第三に、色褪せたまま放置された看板や、切れたままの照明です。これは「営業しているのか分からない店」という最悪の印象を与え、立地の悪さを何倍にも増幅させます。
「立地が悪いからお客さんが来ない」は、多くの場合「見えていない・伝わっていない・入りづらい」の言い換えです。この3つは、いずれも看板で改善できる範囲にあります。立地を変えることはできませんが、人の流れを変えることはできます。
A. 1階の入り口周辺への投資が最優先です。突出し看板で通行人に存在を知らせ、階段の入り口に店内写真・料金・スタッフの顔がわかるパネルを置きます。2階の窓面サインは補助的な役割と考えてください。
A. できません。土地の所有者の承諾に加えて、屋外広告物条例に基づく許可が必要な場合があります。歩道上や道路にかかる場合は道路占用許可・道路使用許可も関わります。設置場所が決まった段階で、事前にご相談ください。
A. そんなことはありません。順番の問題です。「何の店か」が伝わったうえで世界観を出すのは有効ですが、世界観を優先して業種が伝わらないと、悪立地では気づかれずに終わります。まず分かりやすさ、次に世界観です。
A. 人の流れの起点(駅・大通り・駐車場など)から店舗までの間で、進路の判断が必要になる地点の数だけ必要です。曲がり角が2つあるなら、最低でもその2か所に案内が要ります。途中で案内が途切れると、そこで引き返されます。
A. あります。とくに夜間営業の店舗では、明るさそのものが「営業中」「入っていい場所」というサインになります。照明単体でも効果はありますが、店内写真や価格表と組み合わせるとさらに効きます。
A. 既存の看板の清掃と、切れた電球・蛍光灯の交換です。費用に対する印象の改善幅が最も大きい施策で、放置された看板は「閉店したのでは」という誤解を生みます。次に、階段や入り口の照度を上げることをおすすめします。
【監修】株式会社ミライベクトル 取締役社長 大平典男(中小企業診断士/MBA)
看板・広告業に携わり20年。名古屋市守山区を拠点に、東海3県で看板の企画・デザイン・製作・施工を自社一貫で行っています。経営に関するご相談も承っております。(会社案内)