スタッフブログ
2026.08.20

ビルの2階以上や地下にあるお店が苦戦する原因は、立地そのものよりも、外から中の様子が見えないことにあります。どんなお店なのか、価格帯はどうか、自分に合う雰囲気かが分からないまま階段を上り下りするのは、お客様にとって心理的な負担です。裏を返せば、その不安を階段までの区間で消してしまえば、1階の路面店との差は大きく縮まります。
階段を工夫する前に確認したいのが、1階の通行者に存在が伝わっているかどうかです。上階の店舗は、歩行者の視線の高さから外れた位置にあるため、看板を上に付けているだけでは気づかれません。歩道側に張り出す袖看板や、階段入り口のスタンド看板など、目線の高さで存在を知らせる手段を用意しておく必要があります。
その際、店名だけを掲げても足は止まりません。何のお店なのかが一目で分かる業種表示と、何階にあるのかという階数表示をセットにしてください。この2つが揃っているかどうかで、階段の前で立ち止まってもらえる確率が変わります。飲食店であれば料理のジャンル、サロンであれば施術内容まで書き添えると、通行者の中で自店を探す理由がはっきりします。
多くのビルで、階段はただの通路として放置されています。ここを店舗のアプローチ空間として作り替えると、通路が売り場の一部に変わります。代表的なのが階段の立ち上がり部分、いわゆる蹴込みへのシート施工です。下から見上げたときに面が連続して見えるため、複数段にまたがって一つのメッセージやビジュアルを構成できます。
階段の壁面も同様に使えます。商品の写真、店内の様子、スタッフの紹介などを一定の間隔で貼っていくと、上りながら情報が積み重なり、到着したときには来店の心づもりができている状態をつくれます。殺風景な階段のままにしておくより、期待感を落とさずに店舗まで運べます。
階段の入り口に置きたいのは、装飾よりも判断材料です。店内の様子が分かる写真、主なメニューや料金の目安、営業時間、予約が必要かどうかといった情報を、その場で読み取れる形にしておきます。これらは入店前に頭の中で確認されている項目で、答えが見つからないと足が止まります。
特に、価格帯を伏せているお店は敬遠されやすい傾向があります。全品目を並べる必要はなく、代表的な数点や価格の範囲が分かるだけでも、入りにくさはかなり和らぎます。掲示する写真は、以前に撮ったものではなく現在の店内の状態を写したものに更新しておいてください。実際に上がってみたときの印象との差が小さいほど、来店後の満足につながります。
階段を上り始めた人が不安になるのは、あとどれくらいで着くのかが分からないときです。踊り場や曲がり角に矢印を置き、あと少しで到着することが分かるようにしておくと、途中で引き返されにくくなります。階段まわりの照明も同時に確認してください。薄暗い階段は、それだけで入りにくさの原因になります。
階段は共用部にあたることが多く、シートの施工や掲示物の設置には、ビルの管理会社やオーナーの承諾が必要になるのが通常です。契約内容によっては原状回復の範囲も定められています。また、階段や通路の掲示物は避難経路に関わる部分でもあるため、消防や建物側の基準に触れないかを事前に確認しておくと、後から剥がすことになる事態を避けられます。
空中階や地下の店舗にとって、階段は不利な条件ではなく使える面積です。1階で存在と業種と階数を伝え、階段で期待感を積み上げ、入り口で不安を消す。この3段階に分けて考えると、手を入れるべき場所がはっきりします。まずは自店の階段を、初めて来たお客様の目線で下から上まで歩いて見直してみてください。
A. 階段が共用部にあたる場合は、管理会社やビルオーナーの承諾が必要になるのが一般的です。賃貸借契約の中で、共用部の使用や掲示について定められていることも多いため、計画の前に契約書を確認しておくと話が進めやすくなります。
A. 蹴込みは足を乗せる踏面とは別の垂直面のため、直接踏まれる箇所ではありません。ただし靴の先が当たったり、清掃で擦れたりはします。使用するシートの種類や下地の状態によって耐久性が変わるので、設置場所の状況を見たうえで仕様を決めることになります。
A. 壁面に取り付けるパネルや、階段の側壁を使ったサインに切り替える方法があります。通路の幅を確保することは避難の面でも重要なので、置くのではなく貼る、掛けるという方向で検討するのが現実的です。
A. 看板が道路や歩道にかかる場合は、道路占用許可や道路使用許可の対象になることがあります。設置できる範囲や条件は場所によって異なり、屋外広告物条例の規定が関わることもあります。敷地の内側に収める形で計画するか、事前に所轄へ確認してください。
A. 決まった周期はありませんが、色褪せた写真や古い料金表が貼られたままだと、営業状況が伝わらず逆効果になります。季節メニューやキャンペーンに合わせて一部を差し替える運用にしておくと、鮮度を保ちやすくなります。
A. 階段の状態、1階での見え方、ビルの制約は物件ごとに違うため、現地を確認したうえで優先順位をお伝えするのが確実です。当社では既存の看板を活かせる部分と、新しく用意したほうがよい部分を分けてご提案しています。承諾が必要な範囲についてもあわせてご相談いただけます。
【監修】株式会社ミライベクトル 取締役社長 大平典男(中小企業診断士/MBA)
看板・広告業に携わり20年。名古屋市守山区を拠点に、東海3県で看板の企画・デザイン・製作・施工を自社一貫で行っています。経営に関するご相談も承っております。(会社案内)